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プリオン病の新しい診断法に道

病原体プリオンの発生には脳内のRNA分子が関与しているらしいことが示された。

 プリオン病の病原体は,核酸をもたない特殊な感染型タンパクPrPscであり,これは正常組織に存在する糖タンパクPrPcが構造的に変化することによってできると考えられている。しかし,この変換を促進するPrPsc以外の細胞因子はこれまで同定されていなかった。
 正常脳組織をプリオン病感染脳組織と混合して培養すると,プロテアーゼ耐性PrPsc様タンパク質(PrPres)がつくられ,これにはプリオン病におけるPrPsc生成と共通の特徴が多くみられることがわかっている。アメリカ,ダートマウス医大のデレアウルト博士らの実験では,PrPresの生成は一本鎖RNA分解酵素によって阻害されたが,二本鎖RNA分解酵素やDNA分解酵素では阻害されなかった。
 現在,プリオン病に対するもっと感度のよい診断法の開発が必要とされているが,それには感染組織内に存在するPrPresを増加させて検出しやすくすることによって可能かもしれない。博士らは,ハムスターやマウスの脳のRNAを加えることによって脳組織のPrPres量が増えるが,微生物や昆虫などの無脊椎動物のRNAではそのような効果はないことも示した。博士らは,宿主がもつある特定なRNA分子がプリオンタンパクの生成に関与すること,またそのRNA添加によってプリオンタンパクを増加させることでより感度の高いプリオン検出法を開発できることを明らかにした。

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2007年03月03日 01:32に投稿されたエントリーのページです。

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