SARSに感染したネコは,一見無症状だが,体内でウイルス量を上昇させていた。
重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因であるコロナウイルスの保菌動物は今のところ不明だが,フェレットとイエネコがSARSウイルスに対する感受性が強く,感染していないほかの動物と接触することで感染する可能性がある。
オランダ,エラスムス医療センターのバイロン博士らは,SARSで死亡した患者から分離したウイルスを培養細胞内で育てたものを,フェレットとイエネコの気管内に接種し,鼻汁や咽頭粘液などを採取してウイルス量を調べた。
ネコは無症状だったがウイルス量は10日まで上昇しつづけた。フェレットは結膜炎をおこし,死亡した個体もいた。ウイルス量はネコと同様に上昇した。また,ウイルスを接種せずに感染動物と同じおりに入れたところ,ネコもフェレットもウイルス接種と同様のウイルス量上昇と症状を示した。
ネコとフェレットは,SARSの抗ウイルス薬やワクチンの効果を試す動物モデルになるだろう,と博士らはのべている。