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結束する雌たち

サバンナヒヒの集団では,雌の結束力が高いほど,子供の生存率が高いらしい。

 ヒト以外の霊長類の多くで,雌は雌同士で強い結束力をもった集団を作ることが知られている。この関係は雌の適応力を高めると考えられてきたが,社会性が適応力に与える直接的な影響は検証されていなかった。
 アメリカ,カリフォルニア大学のシルク博士らは,ケニアの野生サバンナヒヒの行動を16年間にわたり観察した。サバンナヒヒは雄雌混成の大集団で生活し,雌は自分の生まれた群れに一生涯とどまるが,雄は成熟すると他の群れに移住する。雌の集団内での順位は決まっており,雌同士は互いに体をくっつけあい,毛づくろいしあい,助け合っている。
 博士らは群れの中での成熟雌同士の結束力を,個体間の距離の近さと毛づくろいしあう頻度によって数値化した。また,各雌の子供が1歳になるまでの生存率を調べたところ,雌同士の結束力が高いほど子供の生存率が高い傾向が見られた。この影響は,雌の集団内での順位や生活環境に左右されなかった。その理由についてはまだ明らかではないが,雌同士の結びつきがストレスによる悪影響を軽減する,あるいは外敵から身を守ったり,よいエサを得るなどの直接的な恩恵にあずかることなどが考えられる。

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2007年03月03日 22:59に投稿されたエントリーのページです。

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