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光刺激からの回復が遅い患者には,遺伝子の突然変異

RGSタンパクは、細胞内の様々なシグナル伝達経路におけるGタンパクの不活化を促すGTPアーゼを活性化する。そのうちのRGP9は、網膜の桿状体と錐体の光伝達経路におけるGタンパクを不活化する働きを持つ。RGS9を光受容体の膜につなぎとめるR9AP(RGS9アンカータンパク)は、RGS9の活性を70倍にも高めることが出来る。
 アメリカ,ハーバード医科大学のニシグチ博士らは、暗いところから急に明るいところへ出た時、あるいはその逆の時に10秒間ほど目が見えなくなるという患者5人の遺伝子を調べた。そのうち4人にはRGS9遺伝子の同部位に同じ点突然変異が、また1人にはR9AP遺伝子に1箇所の変異が見られた。ここで同定されたRGS9遺伝子変異部位は、RGS9の疎水性コアの中心部にあり、この変異によりRGS9のGTPアーゼ活性化作用が低下していた。この患者らに対して、背景が白いコンピュータースクリーンに静止あるいは横方向に動く黒文字を強弱2通りのコントラストで呈示するテストを行ったところ、静止文字は正常に識別できたが、動いている文字、特にコントラストの弱い文字を識別する能力が低かった。さらにフラッシュを2回連続して呈示し、それらの間隔を様々に変えると、健康な人は2秒間空けると2度目のフラッシュに反応したが患者は1分間空けないと反応できなかった。

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2007年04月29日 20:53に投稿されたエントリーのページです。

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